5つの資産
財務諸表に載る資産と限界
財務諸表に載る資産には、たとえば、現金・預金、売掛金、在庫、土地、建物などがあります。これらはすべて「会計上の資産」です。会計上の資産でないものは、財務諸表には載りません。この点に気づきフレームワークにしたのが、会計事務所であるアーサーアンダーセンでした。このようなプロフェッショナルが、財務諸表の限界を理解していたからこそ、財務諸表には載らない資産も企業価値を構成する大切な資産だと指摘できたのです。
たとえば、パートや派遣社員の方を含めた従業員を取り上げてみましょう。企業にとって経営者と一緒に働いてくれる従業員がいなければ、企業価値は創造されません。そういう意味で、従業員は企業価値上の大切な資産です。ところが、財務諸表上では、従業員は資産ではなく費用として取り扱われます。従業員へ払う給与が、損益計算書上に費用として計上されるだけです。従業員の価値が従業員の給与に反映されるとすると、財務諸表上は資産が増えるのではなく、費用が増え資産が減ることになってしまいます。このように会計上では資産にならないが、企業価値を考える上で不可欠な項目が財務諸表に載らない資産です。
財務諸表に載らない資産① 組織資産
組織資産とは、企業で共有されている文化や、文化から生み出される強みや機会を捉えた戦略などを含む、組織全体としての力をさします。ここの企業には、各々の企業らしさや強さがあります。企業らしさや強さにさらに磨きをかければ、組織資産は高まります。反対に、企業らしさや強さが失われていくと、組織資産は小さくなります。組織資産は渦巻きで言うと、一番深い部分になります。渦巻きの力の源泉です。組織資産のキーワードは、人が情熱を傾けているときに感じる「わくわく」です。
財務諸表に載らない資産② 人的資産
人的資産とは、企業の従業員がどれだけ活き活きと働きプロフェッショナルとして成長しているか、という視点です。働いている従業員が増えていき、各人が嬉々として働き、様々な経験を通じて成長していけば人的資産は大きくなります。逆に、従業員がやる気をなくし、成長が止まってしまうと人的資産は小さくなります。人的資産のキーワードは、従業員が活き活きと働いているか?ということで「いきいき」です。
財務諸表に載らない資産③ 顧客資産
顧客資産とは、企業が生み出す製品・サービスを購入する顧客が製品・サービスをどれだけ支持しているか、という視点です。顧客が製品・サービスを支持し、製品・サービスを購入する機会が増えていけば顧客資産は大きくなります。逆に、顧客が製品・サービスを支持しなくなれば顧客資産は小さくなります。顧客資産のキーワードは、顧客が製品・サービスを支持している笑顔があるか?ということで「にこにこ」です。
財務諸表に載らない資産と、財務諸表に載る物的資産と金融資産の5つの資産によって企業価値を考えるのが「5つの資産」です。5つの資産は、高まる要因(プラスの資産)と下がる要因(マイナスの資産:負債)を両方含んでいます。それらの要因を相殺しても高まる要因が大きければ、その資産が大きくなっていると考えられます。各々の資産の全体である企業価値も、高める要因と下がる要因の両方を含んでいます。全体として高まる要因が大きければ、企業価値は高まります。
5つの資産バリュートライアングル